ドキュメント定義マトリクス

ドキュメント何を定義するか誰が使うか変更コスト最重要度
受入合意書(UAT)ビジネス側がシステムを「受け入れる」という署名付きの正式合意PM・リリース判定会議・監査◎ 最重要
脆弱性診断報告書・対応記録発見された脆弱性の一覧・重大度・対応方針・対応後の再確認結果PM・セキュリティ・リリース判定・監査◎ 最重要
負荷テスト計画書・結果・ボトルネック分析テストシナリオ・実施結果・ボトルネック箇所・対応内容インフラ・DBA・PM・リリース判定○ 重要
システムテスト仕様書・実施記録テストケースと実施結果・要件との照合証拠QA・PM・ビジネス側○ 重要
結合テスト仕様書・実施記録API境界・外部システム連携の検証証拠QA・アプリ担当△ 記録
単体テスト結果・カバレッジレポート実装品質の計測記録開発者・QA△ 記録
不具合管理票発見された不具合・重大度・対応状況・クローズ根拠QA・開発者・PM△ 記録

◎最重要ドキュメントの詳細

受入合意書(UAT)

何を定義するか:「ビジネス側がこのシステムの受け入れに同意する」という正式な合意の記録。テストした機能の範囲・確認した受入基準・合意した日付・ビジネス側責任者の署名が含まれる。

なぜ変更コストが高いか:受入合意書のないリリースは「ビジネス側が承認していない状態でのリリース」を意味する。後から「そのシステムは受け入れていない」と言われた場合に対抗する根拠がない。また、署名なしの受入合意書は法的・監査的な証拠として機能しない。

⚠️ 受入合意書はQAではなくPMが主導して取得する

UATはビジネス側がシステムを受け入れるかどうかの判断プロセスだ。技術的なテスト合否ではなく「業務に使えるか」の確認なので、PMが主導してビジネス側責任者を巻き込み、署名付きの受入合意書を取得する。QAに任せると「技術テストは合格した」という報告で終わり、ビジネス側の合意が形式化されないリスクがある。

脆弱性診断報告書・対応記録

何を定義するか:セキュリティ診断で発見された脆弱性の一覧(CVE/OWASP分類)・重大度評価(Critical/High/Medium/Low)・各脆弱性の対応方針・対応後の再診断結果・残存リスクの受け入れ判断記録。

形骸化した場合の影響:重大度Highの脆弱性が「対応中」のまま本番にリリースされるケースがある。対応記録がないと「どの脆弱性に対応済みか」が追跡できず、次回の診断で同じ指摘を繰り返す。

テスト結果エビデンスと◎の違い

種類目的使われ方最重要度
受入合意書ビジネス側の正式合意の証明リリース判定の法的・組織的根拠
脆弱性診断報告書セキュリティリスクの把握と対応の証明リリース可否の判断根拠・監査証跡
負荷テスト結果性能要件達成の証明非機能要件定義書との照合・リリース判断材料
システムテスト記録機能要件充足の証明要件定義書との照合証拠
単体テスト結果実装品質の計測記録内部品質の参考指標

💡 ◎は「なければリリースを止める」根拠になるドキュメント

受入合意書と脆弱性診断報告書は、これがなければリリースを止めることが正当化できる文書だ。単体テスト結果が揃っていなくてもリリースは止まらないが、受入合意書がなければリリースのGo判定を出すべきではない。この違いが◎と△の本質的な差だ。