Report SummaryからSegment統計まで、AWRのどのセクションが何を示しているのか一覧で把握できず、毎回目次を行ったり来たりしていました。全体構造をマップとして可視化しています。

AWRレポートを構成する14の大セクションそれぞれの「ボリューム」「主な観点」「推奨閲覧フェーズ(STEP)」を一覧化したマップです。レポートを読み始める前に全体像を掴むために活用してください。

1. Report Summary

AWR全体構造マップ

図1: AWRレポート全セクションのマップ

  • ボリューム: 1ページ程度
  • 主な観点: DB Time / Load Profile / Instance Efficiency / Top 10 Wait Events ─ 全体俯瞰の入口
  • 閲覧フェーズ: STEP 1(必須)

2. Wait Events Statistics

  • ボリューム: 中
  • 主な観点: Time Model / FG・BG Waits / Histogram / Service Stats ─ 待機の種類・分布
  • 閲覧フェーズ: STEP 2

3. SQL Statistics

  • ボリューム: 大
  • 主な観点: 9種の Top SQL ランキング + 全SQL Text ─ 原因SQLの特定
  • 閲覧フェーズ: STEP 3

4. Instance Activity Statistics

  • ボリューム: 大
  • 主な観点: V$SYSSTAT 全カウンタ ─ 細部の挙動を裏付けで使う
  • 閲覧フェーズ: STEP 3-4(補助)

5. IO Stats

  • ボリューム: 中
  • 主な観点: Function/Filetype/Tablespace/File 別の I/O ─ I/O 偏在の検出
  • 閲覧フェーズ: STEP 4

6. Buffer Pool Statistics

  • ボリューム: 小
  • 主な観点: バッファプール統計とチェックポイント活動 ─ キャッシュ効率
  • 閲覧フェーズ: STEP 5

7. Advisory Statistics

  • ボリューム: 中
  • 主な観点: MTTR/Buffer/PGA/Shared Pool/SGA Target Advisory ─ サイジング検討
  • 閲覧フェーズ: STEP 5

8. Wait Statistics

  • ボリューム: 小
  • 主な観点: Buffer Wait / Enqueue Activity ─ 競合の詳細
  • 閲覧フェーズ: STEP 2-3(補助)

9. Undo Statistics

  • ボリューム: 小
  • 主な観点: UNDO セグメント統計 ─ 長時間トランザクション・ORA-1555 調査
  • 閲覧フェーズ: STEP 4(該当時)

10. Latch Statistics

  • ボリューム: 中
  • 主な観点: ラッチ競合の詳細 ─ 内部競合のボトルネック特定
  • 閲覧フェーズ: STEP 4(該当時)

11. Segment Statistics

  • ボリューム: 中
  • 主な観点: セグメント単位のアクセス Top ─ ホットセグメント特定
  • 閲覧フェーズ: STEP 4

12. Memory Statistics

  • ボリューム: 小
  • 主な観点: メモリ動的調整・プロセスメモリ ─ メモリリーク・調整履歴の確認
  • 閲覧フェーズ: STEP 5

13. Replication / Streams / Shared Server

  • ボリューム: 小
  • 主な観点: GoldenGate/XStream/Streams/Shared Server ─ 該当環境のみ
  • 閲覧フェーズ: STEP 6(該当時)

14. init.ora Parameters / ADDM

  • ボリューム: 中
  • 主な観点: 起動パラメータ + ADDM 推奨事項 ─ 設定確認・自動診断結果
  • 閲覧フェーズ: STEP 1 & 6

症状別:最初に確認すべきセクション

障害・性能問題のタイプごとに「最初に開くべきセクション」を示す。全セクションを順番に読むのではなく、症状から逆引きすることで診断を効率化できる。

症状最初に見るセクション確認ポイント
全体的に遅い・CPU高騰 1. Report Summary → Top 10 Wait Events DB Timeの大半がCPUか待機かを判断
特定SQLだけ遅い 3. SQL Statistics → SQL Ordered by Elapsed/CPU SQL_IDを特定し実行計画を確認
ディスクI/Oが高い 5. IO Stats → Tablespace IO / Datafile IO Av Rd(ms)が高い表領域・ファイルを特定
ロック待ちが多い 2. Wait Events → Enqueue / 8. Wait Statistics TX lock / TM lockのWaits数とAv Wait
メモリ不足の疑い 7. Advisory Statistics → PGA/Buffer Cache Advisory 推奨サイズと現状の差を確認

💡 ADDM を先に読む手もある

ADDM(セクション14)はOracleが自動的に生成する診断結果で、発見した問題と推奨対策が文章で記述されている。時間がない場合はADDMから読み始め、指摘箇所のセクションを深掘りする逆引き戦略も有効だ。

セクション構造マップの読み方でよくある誤り

AWRレポートの構造を把握していないと、必要なセクションを見逃しやすい。代表的な誤りを整理する。

誤り何が起きるか正しい読み方
Report SummaryとTop 5 Eventsだけで診断を完結させる詳細なI/O統計・メモリ統計が確認されないまま「問題なし」と判断するリスクがある症状に応じて対応するセクション(I/O Stat、Memory Statistics等)まで掘り下げる
ADDMの推奨をそのまま実行するADDMはDB Time全体への影響で推奨を出すため、バッチ系と判明している問題を過大評価することがあるADDMの推奨は調査の起点として使い、対応するセクションで実データを確認してから判断する
セクション番号が変わることを想定しないOracleバージョンによってセクションのレイアウトやADDM出力形式が変わるため、位置で覚えると迷うセクション名(英語の見出し)で判断し、バージョン差分を意識して読む