このフェーズの座組み
図1: 企画フェーズの役割・成果物・タスク
企画フェーズ — 座組み
⚠️ インフラとセキュリティを企画フェーズに巻き込む理由
クラウド vs オンプレの方針、適用すべき法令・規制(GDPR・個人情報保護法等)は企画フェーズで判断しなければならない制約条件だ。これらを後回しにすると、基本設計で「クラウド前提で進めたが、規制上オンプレが必要だった」という根本的な覆しが起きる。
成果物マトリクス
| 役割 | 成果物 | ポイント |
|---|---|---|
| 管理PM | プロジェクト憲章、目的・ゴール定義、ステークホルダー一覧・RACI表 | ステークホルダー全員の合意署名が必須。特にゴールとスコープの境界を明文化する。 |
| 管理PMO | プロジェクト体制図、初期マスタスケジュール(マイルストーン単位) | 役割・責任の明文化。誰が意思決定者かを全員に周知する。 |
| 技術統括アーキテクト | 技術的フィジビリティメモ、概算見積根拠 | 「作れるか・作れないか」の初期判断を文書化。不確実性の高い技術要素はここで洗い出す。 |
| インフラインフラ | 概算インフラコスト試算、クラウド/オンプレ方針メモ | 後の基本設計の前提条件になる。コスト感覚の合意も重要。 |
| 横断セキュリティ | 適用法令・規制の洗い出しメモ(GDPR・個人情報保護法・業界規制等) | コンプライアンス要件は後から変えられない。業界特有の規制は必ず確認する。 |
注意ポイント
💡 プロジェクト憲章はゴールの凍結ではなく合意の記録
プロジェクト憲章は「変えてはいけないもの」ではなく「全員が合意した時点の認識の記録」だ。状況が変わったら更新すればよい。重要なのは「最後に全員が合意した状態」を常に参照できることだ。
💡 「スコープ外」を明記する
プロジェクト憲章には「スコープ内」だけでなく「スコープ外」も明記することを強く推奨する。後から「あの機能も含まれると思っていた」という認識ズレを防ぐ。
企画フェーズでよくある失敗
企画フェーズは後工程のすべての前提を作るフェーズだ。ここでの合意不足・定義漏れが、基本設計・詳細設計・開発フェーズに入ってから「実はそういう意味ではなかった」という根本的な覆しを引き起こす。代表的な失敗パターンを整理しておく。
| 失敗パターン | 何が起きるか | 予防策 |
|---|---|---|
| ゴールが「売上向上」のような定性表現のみ | 進捗の判断ができず、「まだ終わっていない」が永続する | KPIを数値で定義する(例:DAU 1万人・CVR 3%) |
| スコープ外を明記しない | 「あの機能も含まれると思っていた」が多発し追加要求が積み重なる | 「スコープ外」セクションを憲章に明示する |
| ステークホルダーの承認を省略する | 後から「聞いてない」「合意した覚えがない」が出てくる | 憲章に署名欄を設け、全員の署名を記録する |
| インフラ・セキュリティを企画フェーズに巻き込まない | 設計フェーズで「クラウド前提で進めたが規制上オンプレが必要だった」など根本的な覆しが起きる | 企画フェーズにレビュー参加者として招集する |
| 技術的フィジビリティを確認しない | 「作れると思っていたが、実は不可能または工数が10倍かかる」が開発中に発覚する | アーキテクトに概算見積・フィジビリティ確認を依頼する |
企画フェーズの成果物は「美しいドキュメント」である必要はない。Notion・Confluence・Googleドキュメントの1ページであっても、全員が確認・署名できていれば目的を果たせる。形式よりも「全員が同じ認識を持っている状態」を作ることが重要だ。
✅ 次のPARTへ