◎最重要ドキュメント 横断早見表
全8フェーズを通じて◎ 最重要と判定されたドキュメントの一覧だ。変更コストが高かつ後工程依存度が広いものがここに並ぶ。
| フェーズ | ◎最重要ドキュメント | 定義の核心 | 主な後工程参照者 |
|---|---|---|---|
| 企画 | プロジェクト憲章 | ゴール・スコープ内外・制約・成功基準 | 全フェーズ・全チーム |
| ステークホルダー一覧・RACI表 | 意思決定者・承認者・責任分担 | PM・PMO・全フェーズ | |
| 要件定義 | 非機能要件定義書 | 性能・可用性・RTO/RPO・セキュリティ要件(数値で) | 全設計チーム・QA |
| 業務要件定義書 | 機能・業務フロー・優先度(MoSCoW) | 全開発チーム・QA・ビジネス側 | |
| 変更管理プロセス定義 | 変更要求の申請〜承認フロー全体 | PM・PMO・全チーム | |
| 基本設計 | システム方式設計書 | 技術スタック・アーキテクチャパターン・通信方式 | 全チーム |
| 認証・認可設計 | 認証方式・権限モデル・セッション管理 | FE・BE・インフラ・セキュリティ | |
| 論理データモデル(ER図) | エンティティ・関係・DB選定根拠 | DBA・BE・共通チーム | |
| APIゲートウェイ設計方針 | ルーティング・共通認証・統一レスポンスフォーマット | FE・BE全員 | |
| 詳細設計 | 詳細API仕様書(OpenAPI) | エンドポイント・スキーマ・エラーコード・認証要件 | FE・BE・QA |
| 物理データモデル・DDL | テーブル定義・型・制約・デフォルト値 | BE・DBA | |
| インデックス設計書 | インデックス一覧と対応クエリパターン根拠 | DBA・BE | |
| 共通コンポーネント仕様書 | 共通ライブラリのIF・制約・バージョン | FE・BE全員 | |
| 開発 | 変更管理記録 | 全変更要求の内容・影響評価・承認証跡 | PM・PMO・監査 |
| テスト | 受入合意書(UAT) | ビジネス側の正式受け入れ合意と署名 | PM・リリース判定・監査 |
| 脆弱性診断報告書・対応記録 | 脆弱性一覧・重大度・対応状況・再診断結果 | PM・セキュリティ・リリース判定 | |
| リリース | リリース判定書(Go/No-Go) | 判定基準・達成状況・承認者署名 | PM・全チーム・監査 |
| データ移行手順書・整合性確認手順 | 移行ステップ・確認SQL・リハーサル結果 | DBA・PMO・作業者 | |
| ロールバック手順書 | 判断基準・切り戻し手順・タイムアウト設定 | PM・インフラ・DBA・アプリ | |
| 運用 | Runbook(障害対応手順書) | アラート別対応手順・エスカレーション・復旧手順 | 運用チーム(アプリチーム不在でも) |
| 運用移管完了報告 | 引き継ぎ内容一覧・未解決課題・双方署名 | PM・PMO・運用チーム・監査 |
フェーズをまたぐ依存関係
◎最重要ドキュメントは独立して存在するのではなく、後続フェーズのドキュメントへの入力として連鎖する。
| 起点ドキュメント | 依存する後続ドキュメント | |
|---|---|---|
| 非機能要件定義書 | → | システム方式設計書・インフラ構成図・負荷テスト計画書・リリース判定基準 |
| 認証・認可設計 | → | 詳細API仕様書(認証フィールド)・セキュリティ診断基準・Runbook(認証障害対応) |
| 論理データモデル | → | 物理データモデル・DDL・インデックス設計・データ移行手順書 |
| 詳細API仕様書 | → | FE実装コード・BE実装コード・結合テストケース |
| 受入合意書 | → | リリース判定書(前提ドキュメントとして参照) |
| Runbook | → | 運用移管完了報告(引き継ぎドキュメントの一つ) |
形骸化防止チェックリスト
合意・署名の確認
プロジェクト憲章にステークホルダー全員の署名があるか
非機能要件定義書に全設計チームの合意署名があるか
受入合意書にビジネス側責任者の署名があるか
リリース判定書に最終承認者の署名があるか
運用移管完了報告に双方の署名があるか
版管理の確認
API仕様書(OpenAPI)はGit管理されており最新版が一か所か
DDLとアプリコードのDB定義が一致しているか
Runbookは最後の障害後に更新されているか
変更管理記録は最新の変更まで記録されているか
数値の確認
非機能要件に具体的な数値が記載されているか(「できるだけ速く」はNG)
インデックス設計書に対応クエリパターンの根拠があるか
リリース判定のGo/No-Go基準が数値で定義されているか
SLA要件が稼働率・RTO・RPOの数値で定義されているか
実態との一致
認証設計の内容がFE・BE実装と一致しているか
データ移行手順書のリハーサルを実施済みか
ロールバック手順書のドライランを実施済みか
Runbookの手順を運用チームが実際に追えるか
プロジェクト立ち上げ時の確認項目
⚠️ ◎ドキュメントのオーナーが全員決まっているか
プロジェクト開始時に「この◎ドキュメントを誰が作り・誰がレビューし・誰が承認するか」をRACIで確定させる。フェーズが始まってから「これ誰が作るんですか」という状況になるのは、アサイン計画の失敗だ。
| 確認項目 | 確認タイミング |
|---|---|
| 全◎ドキュメントのオーナー(Responsible)が決まっているか | プロジェクト憲章合意時 |
| 全◎ドキュメントの最終承認者(Accountable)が決まっているか | RACI表作成時 |
| 各フェーズの◎ドキュメント完成がフェーズゲートの条件になっているか | WBS作成時 |
| 基本設計の◎4本(方式設計・認証・ER図・ゲートウェイ)が詳細設計開始前に完成する計画か | マスタスケジュール作成時 |
| リリース判定書にRunbook完成を前提条件として含めているか | リリース計画作成時 |
シリーズ全記事一覧
成果物の定義すべき事項 — 全10回
✅ 姉妹シリーズ
「各フェーズで誰が・何を作るか」の役割分担を知りたい場合は「各フェーズでの成果物と役割」シリーズ(全13回)を参照してほしい。本シリーズと組み合わせることで、ドキュメントの「作り手」と「定義すべき内容」を両面から把握できる。